TOPへ

日帰り網膜硝子体手術

当院の日帰り網膜硝子体手術

当院の日帰り網膜硝子体手術硝子体は、水晶体の奥に位置し、眼球の大部分を占める透明なゼリー状の組織です。眼球の形を維持し、光を屈折させる役割を担っています。
この組織が網膜を引っ張ったり、炎症を引き起こしたり、濁ったり、出血したりすることで目に異常をもたらすことがあります。これらの問題を治療するために、硝子体手術では眼内の出血や濁りを硝子体と一緒に取り除きます。
当院では、網膜硝子体の日帰り手術を提供しており、白内障手術と同時に行うことも可能です。入院せずに受けられるため、生活環境の変化による精神的・身体的負担や入院費用は一切かかりません。
ただし、厳格な術後管理が必要な場合は、入院を提案する可能性もあります。

低侵襲へ進化した
網膜硝子体手術

網膜硝子体手術は、近年大きく進化した眼科手術の1つです。手術器具の質も高くなり、今までよりも小さな切開で手術が可能となり、術後の炎症が少なく、視力の回復も早くなりました。
また、硝子体を切除する器具の性能が向上し、高速回転で効率的に切除・吸引ができるようになり、手術時間も短縮され、より安全な切除が実現できるようになりました。このように、従来よりも侵襲が少ない硝子体手術を、日帰りで行う医療機関も徐々に増えつつあります。

網膜硝子体手術の適応疾患

糖尿病網膜症

糖尿病の合併症の一つで網膜の毛細血管が閉塞して血のめぐりが悪くなり、硝子体の出血や黄斑部の浮腫、さらに進行すると牽引性の網膜剥離を起し視力が低下します。網膜硝子体手術で増殖性変化や硝子体出血、網膜剥離を治療するために硝子体を除去し、網膜の血管異常を修正します。

黄斑前膜 (黄斑上膜)

眼球の網膜の前に膜が張って黄斑がそれに遮られてものがゆがんで見えたり、視力が低下してくる病気です。50,60代で特に女性に多い傾向があります。網膜硝子体手術では視力の回復を目的として、黄斑上に形成された膜を取り除き、網膜表面を滑らかにします。

黄斑円孔

何らかの原因により眼底の中心にある黄斑部の網膜に穴があく病気です。
黄斑部は網膜の中心に位置していて、物を見るための中心部分のため、黄斑円孔になると非常に物が見えにくくなり視力が低下します。以前は治療法がなくやっかいな病気でしたが、今では手術でほとんど円孔を閉じて視力も回復できるようになりました。

黄斑浮腫

黄斑浮腫とは、網膜の中心となる黄斑部に液状の成分がたまり、むくみを起こし視力が低下する病気のことを言います。視力の低下の他、物がぼやけて見える、ゆがんで見えるなどの症状を引き起こします。黄斑浮腫は、糖尿病網膜症、網膜静脈分閉塞症など、さまざまな病気が原因となって引き起こされることが多いです。網膜硝子体手術で浮腫を減少させて視力を改善するために硝子体を除去し、網膜への血液や液体の漏れを防ぎます。

硝子体出血

網膜の血管などが切れて出血し、硝子体腔に出血が溜まった状態を硝子体出血と言います。
光が出血により網膜までうまく届かないため、視力障害を引き起します。網膜硝子体手術では視力の回復を目的として、出血した血液を除去し、網膜や硝子体の透明性を取り戻します。

網膜静脈閉塞症

網膜の静脈が血栓や動脈硬化などによって閉塞することで発症します。これにより、網膜に必要な酸素や栄養が供給されず、視力の低下や視野欠損、網膜の腫れ(黄斑浮腫)を引き起こします。早期の治療が視力の維持に重要であり、初期治療(レーザー治療、硝子体注射)が効果を示さず、重度の黄斑浮腫や網膜剥離、硝子体出血などの合併症が発生した場合に、硝子体手術が検討されます。

眼内レンズの亜脱臼

白内障手術後に挿入された人工レンズが正常な位置からずれることを指します。これにより、視界がぼやける、二重視、光の反射が異常に見えるなどの視覚障害が発生することがあります。亜脱臼の原因には、外傷、眼の解剖学的異常、手術後の合併症などがあります。網膜硝子体手術で硝子体を除去し、脱臼したレンズを再配置または交換します。

網膜硝子体手術の流れ

1検査

検査手術に必要な各種検査を行います。糖尿病などの持病がある方は、内科の医師と連携して手術できるかどうかを慎重に決定します。詳細な眼科診察を行い、手術の必要性を評価し、眼底検査、視力検査、眼圧測定、OCT(光干渉断層計)などの検査を実施します。

2術前の点眼

術前の点眼感染予防のため、手術の数日前から抗菌剤の点眼薬を使用します。
また、術前には全身状態を確認するために血液検査や心電図検査を行ってから、抗生物質や抗炎症剤の点眼薬を使用します。

3手術日

手術当日はいつも通り、食事を摂っていただいても問題ありません。来院後、心電図や血圧を測定しますので、ゆったりした服装でご来院ください。また、車やバイク、自転車での来院は禁止しています。手術後はしばらく院内で休息をとってからご帰宅となります。

手術について

手術について通常は局所麻酔を使用しますが、ご希望により笑気麻酔を併用することが可能です。
手術手順としては、まず硝子体を取り除き、網膜が剥離している場合は復位させて固定します。最後に、眼球内に水溶液が補充されます。補充内容にガスやシリコンオイルを使用する場合は体位に制限が生じるため、入院設備のある病院を紹介いたします。

4手術終了

術後のケアとして、抗生物質や抗炎症剤の点眼を行います。また、ガスやシリコンオイルが網膜を圧迫し再付着を助けるため、特定の姿勢(伏せて寝るなど)を一定期間保つ必要があります。

5術後の診察

翌日、翌々日、1週間後などと、再受診していただき、網膜の再付着状況や視力の回復具合、感染症や炎症がないかをチェックします。日常生活では、しばらくの間、重い物を持たない、激しい運動を避ける、きちんとした手洗いなどを心がけましょう。

網膜硝子体手術後の注意点

硝子体手術後の注意事項は以下の通りです。病気の種類や手術後の目の状態によって異なる場合がありますので、詳しくは医師にご相談ください。

  • 手術後は出血のリスクが高いため、目を擦ったり押さえたりしないようにしてください。
  • 処方された点眼薬は、重篤な炎症や感染症を予防するためのものです。医師の指示に従い、しっかりと点眼してください。通常、手術後3ヶ月程度続ける必要があります。
  • 手術後3日間は感染症のリスクが特に高い期間です。この期間中は目に点眼薬以外の水分が入らないように注意しましょう。洗顔は固く絞ったタオルで拭く程度にし、シャワーや入浴は首から下だけにしてください。
  • 車の運転は、両目で0.7以上の視力が必要です。視力が安定するまで運転を再開しないようにして、医師からの指示に従って運転を再開しましょう。
  • 網膜剥離や黄斑円孔の処置で眼球内にガスを注入した場合、手術後1週間程度はうつぶせなどの姿勢を保つ必要があります。詳しくは医師の指示に従ってください。

網膜硝子体手術後の見え方と回復期間

手術の内容によっては、術後にうつ伏せになる必要がある場合があります。これは、目の中にガスやシリコンオイルを入れて、網膜をしっかりと固定するためです。このような場合、うつ伏せの姿勢を維持することが非常に重要であり、専門的な管理が必要になります。
当院では、基本的に厳格なうつぶせを必要としない硝子体手術のみを行っております。これは、日帰りで手術を受けていただける患者様の負担を軽減し、快適な回復をサポートするためです。状況によってはうつぶせが必要な場合もございます
もし、厳格なうつぶせが必要な場合は、適切な入院施設がある病院をご紹介させていただきます。入院中は、術後の管理や姿勢維持がしっかりとサポートされますので、安心して治療を受けていただけます。

提携病院について

網膜硝子体手術のうつ伏せは必要?

白内障手術後、視力は最長で約1か月で回復するとされています。術後すぐに視力が回復する方が多いですが、瞳孔が広がるため、違和感を感じる可能性があります。また、眼内レンズに慣れるまで時間がかかる場合もあるため、視力が安定するまでの1か月間は様子を見てください。メガネやコンタクトレンズが必要な場合は、視力が安定してくる1か月後に作成すると良いでしょう。

  • 手術後の見え方には個人差があり、翌日から良く見える方もいれば、数週間かけて回復する方もいます。
  • 視力の回復程度にも個人差があり、網膜や視神経に問題がない場合は良好な回復が期待できますが、変性近視や加齢性黄斑変性症がある場合は回復が難しいことがあります。
  • 視力の良し悪しだけでなく、個人の感じ方によって左右されます。視力が1.0以上でも見えにくいと感じることがあり、逆に0.2程度でも良く見えると感じることがあります。

網膜硝子体手術の
リスク・合併症

硝子体手術では、術中や術後に合併症が発生するリスクが伴いますが、視力に大きな影響を与えるような合併症は非常に稀です。ほとんどの場合、適切な治療で対処できるのでご安心ください。詳細については、担当医やスタッフにお気軽にご相談ください。

眼圧上昇

手術後に炎症が発生し、一時的に眼圧が上がることがありますが、通常は点眼薬や内服薬で眼圧を下降できます。

硝子体出血

何らかの理由により眼内に出血が起こり、術後早期に視力が低下することがあります。出血量が多い場合は、眼内の出血を取り除く処置を行います。

駆逐性出血

手術中に血圧が異常に上昇したり、強い緊張や咳き込みがあったりすると、目の奥の動脈から大出血する恐れがあります。この場合、手術を継続するのが難しくなり、失明のリスクが伴います。手術中に痛みを感じたら、無理せずにすぐに医師に伝えてください。このような事態は非常に稀で、10,000例に1回程度とされています。

網膜剥離

手術後に網膜剥離が発生することがあります。この場合、失明を防ぐために再度硝子体手術を実施し、網膜剥離を解消させます。

網膜裂孔

網膜に弱い部分があった場合、硝子体を切除する際に網膜に穴が開くことがあります。この場合、レーザーで穴を閉じる手術を行います。また、網膜剥離が発生した場合は、眼内にガスを注入して治療します。

黄斑円孔

膜と黄斑が強く癒着していると、網膜の中心部に穴が開くことがあります。この場合は手術の最後にて、眼内にガスを注入して穴を塞ぎます。

白内障

硝子体手術と同時に白内障手術を行わない場合は、術後からある程度の時間が経過した後に、白内障の症状が現れることがあります。硝子体手術を受けた多くの方にこの症状が見られるため、白内障手術を同時に行うか、時期をずらして行うことを推奨します。

眼内炎

手術後、傷口から細菌が侵入し、目の中で増殖して強い炎症を引き起こすことがあります。進行すると失明のリスクが高くなるため、抗生物質の点眼や感染部位を取り除く手術を行います。

網膜硝子体手術の費用(片目)

3割負担の方

約12万円(高額療養費制度をご利用ください)

1割負担の方

約1万8千円(高額療養費制度適用)